採用側の視点からみた就職活動

2010年5月20日

私の特技の一つは採用である。
人を採用する目利きだという意味ではない。しかし30代のはじめから採用にかかわり
昨年までの30年間の採用経験から得た、就職活動の心得のようなものがある。
今週金曜日、5月21日の19時半から高田の馬場にある東京コンテンツプロデューサーラボ
(TCPL)というところでこのラボが定期的に行っている公開講座のひとつとして採用側からみた就職活動の心得の話を新卒の場合と既卒の場合についてはなすことになっている。
まだ、申し込み可能だから興味のあるかたは東京コンテンツプロデューサーラボのホームページを見て申し込んでほしい。
就職活動は深刻である。
今年の新卒採用は昨年以上に厳しいだろう。
業績が回復している企業も見られるが採用を増やせるところは成長産業だけである。
既存の産業では雇用調整が業績回復のベースになっているからこのようなところでは採用を
増やすことはできないし、最近のギリシャの財政破綻が万が一飛び火するようなことがあればまたまた世界中が不況に入るだろうから企業としては気の許せない状況である。
新卒既卒含めて私はこの10年間ほど年間で少なくとも200通の履歴書を、多いときには年間4000通から5000通の履歴書を見ている。書類選考の段階は自分でやっている。
人事は自分達でやる、というのだが手分けしてやってみると人事の選考の視点と私の選考の視点はかなり異なる。したがって、人事に任せて書類選考すると私の視点からは欲しい人材がこぼれてしまっていることがあるので自分で書類選考をしている。
書類選考から1時面接までは自分で眼をとおす。一次面接をパスしてきた応募者はもうその資質の差はわずかだからあえて自分で面接することも無いのでほかの役員、人事にまかせることもある。
人の採用は大きな投資である。しかも、人の資質、性格の集まりが企業文化をつくりだす。
そのような重要な仕事は安易に人事に任しておくわけには行かない、というのが持論である。
就職活動で最も重要なのは書類選考に残る事である。
それはいつも履歴書の書き方で決まる。
その履歴書の書き方の重要性が新卒のみならず既卒においても応募者が十分理解しているとは思えない。
たとえば、学生の新卒の場合、安易な就職活動ガイドブックの影響ではないかと思うが、履歴書に書かれていることはもっぱらクラブ活動、バイト、海外旅行の3点である。何を学んで何を得たかを明確に書いている履歴書は25%程度にしか過ぎない。
私の場合は先の3点だけしか書かれていない履歴書は自動的に不採用になる。
既卒の転職組の履歴書ではその内容に疑わしいモノがが結構見られる。
やたらに給与水準が高かったりするのもその一例である。人事はとうぜんながら業界の給与水準も職種での給与水準も知っているのでこの手の者はすぐわかる。すぐに不採用ボックスに入る。
面接についても同じようなことがある。
面接とはしつもんされたことにたいして的確に答えることである。
面接する側の目的は二つある。履歴書に書かれていることの確認と、眼で見て話してみてその人間的な資質を評価することである。
したがって、質問に適切に答えることがきわめて重要なのだが質問をきっちり聞かずに発言したり、暗記してきた売り込みトークを質問に関係なくしゃべりだす応募者もいる。これらを排除していくと自動的に採用すべき応募者が絞り込まれてくる。
人は見かけが半分である。つまり見かけがその評価の50%を支配している。したがってきっちりした服装と身のこなしが必要である。服装はお仕着せのリクルートファッションで統一されてきているが身のこなしがやはり馬脚をあらわす。
これが新卒はまだよいのだが、既卒転職組は服装に対しての神経の払い方が不十分なケースが多い。
服装だけでもきちんとすれば就職活動成功の確率はあがる。
転職組の中でこれといった特別なスキルをもたない中間管理職が一番大変である。
世の中全体として中間管理職入らなくなってきているからである。
このような人たちにまず必要なことは自らのスキル獲得のためのトレーニングだろう。

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