`良い男‘とは(1)

2010年8月19日

また、例の女性ブロガーから質問が来た。
今回の質問は、男性についてである。
‘ひろせさん、ひろせさんからみてどんな男性が‘良い男‘ですか?
そこで、しばらく‘よい男‘をテーマにしてみる。
この質問をもらって、気がついたことがある。よい女性とは、ときかれると比較的すらすら答えがでてくる。
自分が男性であるがゆえに女性を客観的に見ることができるからであろう。ところがよい男とは、ときかれると答えに窮してしまう。
抽象化できないのである。それは自分が男性だから客観視できないのではないかとおもう。
そこで、直接的な答えにはならないとおもうが、自分が人生の時々にこんな人がよいな、とおもったりあこがれた男性がいる。
それを順番に思い出してみてその共通点があればそれがわたしの個人的な‘よい男‘と定義しようとおもう。
まずはじめに……
小学生のころはこんな人になりたい、なろう、あるいはあこがれたという記憶はない。せいぜいあって当時は大好きだった西部劇のヒーローであろう。
はじめてこんな人は面白そうだと思った人を見つけたのは中学に入ってしばらくしたときである。
私の通っていた中学の卒業者名簿を見ていたら永井荷風という人がでてきた。
当時は自分のなかでの印象は、四畳半ふすまの下張りの作者ではないか、と言われていたくらいの認識だった。
名前をみつけたのでさっそくアメリカ物語というのを探して、少しだけ読んでみた。
その文章はとても軽やかで気持ちよく読めた、という記憶である。
そんなことがあって、あまり荷風の人となりを良く知らないままでも、中学時代は荷風がなんとなく自分の理想像であった。
それが50年以上たった今でも荷風の行き方になんとなく憧れがあるのが不思議である。いまもある種、自分の理想のタイプである。
それは荷風がまったくの江戸っ子であるところ、自分独自の価値観と生活スタイルをもっているところ、そうは言え結構世俗的なところ、しかし必ずしも下卑ていないところ、その都会的なこだわりがあってもそれを見せず軽やかさを意地で装っているところ……などであろう。

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