トリッパのトマト煮

2009年11月 5日

イタリア料理にトリッパのトマト煮というのがある。トリッパは牛の腸、すなわち英語のトリップ、日本では焼肉でおなじみのミノである。
トマト煮といってもトマトで煮たあとトリッパをトマトソースとともにグラタン皿にいれて、パン粉とパルメザンチーズを載せてグラタン風に焼き上げる。グラタン風ではなく、まさにグラタンである。
マカロニグラタンのマカロニの代わりにトリッパが入っていてホワイトソースの代わりにトマトソースを使っていると考えればよい。

昨晩は久しぶりにおいしいトリッパに出会った。トリッパがおいしいためにはいくつかのポイントがある。まず、原料の牛の腸がよく掃除され晒されてあく抜きがされていることである。

ただし、晒しすぎるとトリッパ独特の歯ごたえがなくなり、さらに内臓のあくのある味が抜けてしまう。この晒し加減が微妙である。私は味にえぐさが残っているものが好きである。

次にトマトソースである。トリッパを十分晒してやわらかくし、あくを抜いたモノの場合は薄めの味のトマトソースでよい。

しかし、えぐさを残したとリッパの場合はその味に対抗できる濃い味のトマトソースが必要である。この組み合わせを間違えるととんでもない味のトリッパになってしまう。

昨晩のトリッパはトリッパにえぐさが残っていてそれを濃いトマトソースとたっぷりのチーズでグラタンに焼き上げらていたので、濃厚な味の満足のいく味だった。

実はトリッパにはまったのは1971年のことである。そのころ、計量経済予測に関係した仕事をしていた。その関係で当時計量経済の分野で進んでいたイタリアのピサ大学とIBMの共同研究所に出張する機会があった。

ピサは田舎町であるから英語はほとんど通じない。レストランに行くとメニューはイタリア語だからわからない。そこで安全策として、一番値段の高いモノをえらんだらトリッパだった。
実はこれが一回だけでなく、滞在中に3度も選んでしまった。もちろん別のレストランである。そうすると最初は嫌な味、とおもっていたものが3回目にはおいしいと感じるようになり、それ以来この料理にはまっている。イタリア語がわからなかったメリットである。

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