サンデル教授にあやうくだまされかけた!

2010年9月 1日

サンデル教授の「正義」についての講義と本が大評判らしい。正義について語ろう、という政治哲学の本が30万部のベストセラーだそうである。【これからの「正義」の話をしよう】
この本を読むと、日本の政治家には政治哲学なんてあるのだろうか?
もちろん、無いだろうと確信を持つ。
そもそも、国会議員の中で何人この本を読んでいるのか調べてみたい。
県会議員、市会議員といわゆる政治に関わっている人は30万人の読者のうちで何人くらいいるのだろう。
さて、公共放送の衛星チャネルでサンデル教授の講義を放映していた。
そのとき、教授がある数字を持ち出して反証に使っていた。
番組を見ていたときはなるほど、と思ったが……………
リバタリアニズムの議論のときである。
自分の稼いだものは全て自分のものである、という主張がリバタリアニズムの極端な表現である。自己所有権の主張といえばよいのだろう。
ところで、これに対する反証の議論のなかで、講義に出席しているハーバードの学生は自己努力によってハーバードに入学できたのかどうか、あるいはそれ以外のどうにもならないようなファクターが影響して入学できたのか、というテーマが教授から提示された。家庭環境に恵まれていたとか学習指導がよかったとか、学生の間でいろんな意見が出たが、教授は不可避的なことを持って反証としようと考えたのか、学生達に自分が家族のなかで、第一子の人は手を挙げなさい、と言う。結果は過半数、約6割ほどの学生が手を挙げた。
そこで、先生の結論は、講義に出席している学生が幸いにもハーバードに入学できたことには自分では選択のしようがない、第一子に生まれた、ということが大きなファクターになっている、と話して自己努力だけではないという証明に使った。
学生達はなるほど、と納得してそのテーマは終了した。
この番組を見ていた私もそのときはなるほど、と思った。が、しかし……
世の中で第一子の人数は一番多く、その次は第二子、その次は第三子…ではないか?
つまりハーバードに応募する集団のなかで一番人口が多いのは、第一子であり、それは母集団が最大であるからであろう。
第二子はともかく、第三子、第四子になると格段に人口は減るだろうから第二子以下の合計は第一子の全体よりも少ない可能性は十分ある。つまり人口の母集団では第一子人口が過半をしめている可能性は十分高い。
そう考えると第一子に生まれたから第二子以下に生まれた子供よりもハーバードへの入学者数が多いことは単に母集団のサイズの違いによるものであって能力的な特別なことはない。
ところが、講義ではいかにも第一子には能力的に特別な要素があって、第二子以下の子供よりもハーバードへの入学は有利であるような印象を与え、それによってハーバードに入れたのは自己努力以外の要素があるがごとくの印象を与えていた。
この手の数字のマジックは日常生活でいたるところに見られる。
そして、この数字のマジックをうまく使って自分の主張を正当化したり、セールスをしたりするケースは少なくない。
しかし、ハーバードの名物教授の評判の講義でこんなケースがでてきたのは驚きである。
多分、教授自身、気がついていないのかもしれない。そう信じたい。

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