二週続きの六本木スーパーデラックス

2010年9月13日

六本木ヒルズから六本木通りを西麻布のほうに少し行ったところの左側のビルの地下に、スーパーデラックスという名の多目的スペースがある。ちょっとしたライブ、あるいは新商品発表、あるいはパーティーに使われる場所である。
そこに久しぶりに、しかも二週間続けてジャズ関係の集まりに出かけた。
先々週はビル・ラズウェルのライブを聴きに行った。
コロムビアにいたジャズ関係のディレクターが日本でのビル・ラズウェルのマネジメントをしている関係で声をかけてもらった。この、山辺さんというディレクターは海外のアーティストの人脈が広く、とくにコンテンポラリー・ジャズのアーティストの間で信頼のある人である。
私がビル・ラズウェルというアーティスト(名ばかりアーティストと自称する
ミュージシャンの多い音楽業界でまさにアーティストである)を知ったのは、山辺さんからビルラズウェルがマスタリングしたCDを聴かせてもらったことがきっかけである。実はこのときはじめてマスタリングというプロセスによる出来上がりの音像の違いとその重要性を知ったので、それ以来、ぜひ会ってみたいと思っていた人である。その人のライブを聴くことができるというので最近はすっかり遠のいていたライブに出かけた。
ライブはビルのベースとドラムスだけの演奏だが、一曲が15分を越すような長さでありながらすっかり演奏に引き込まれた。
ベースにこれだけの表現のしかたがあるのか、というのも驚きだった。
先週はおなじく元コロムビアのディレクターで今は独立してジャズとクラシックのマネジメントプロダクションをしているこもぐちさんから、ジャズの好きな人達が集まるから飲みに来ませんか、とメールをもらった。場所はその前の週に行ったばかりのスーパーデラックスだった。ひょっとしたら、またビル・ラズウェルのときのような拾い物があるかもしれない、と思い出かけた。
実はこのパーティーはモントルージャズフェスティバル誘致を企画するひとたちのキックオフパーティーだったらしいが、とてもしゃれていたのはその類のスピーチなどまったくなく、集まった人たちがそれぞれ顔見知りとおしゃべりしたり自分の知り合いを紹介しあったり、、、昔よく顔を出したSOHOのパーティーのようで、ふらりと飛び込んだ自分にもまったく違和感無くここちよい雰囲気の集まりだった。このパーティーをオーガナイズした人たちは川崎市と協力して来年、川崎でモントルージャズフェスティバルの日本版を開催するべく実行委員会を立ち上げる人達がだそうである。
DJをしていたのは結構年のいったイギリス人である。紹介してもらって話していたらロンドンにもニューヨークにも共通の知り合いがいる。こんなことが判って人と人のつながりが広がるのもパーティーの大きなたのしみである。
この二つの集まりに顔をだして、ひょっとして、と考えたことがある。
もう、CDビジネスの採算が取れなくなり、ビジネスとして成り立たなくなってきている。それでもCDビジネスは続いているが実は継続できる範囲にどんどん活動範囲を削っているのが今のレコード会社の実情である。
その結果、削り取られた部分の音楽関係者が巷に増えてきている。その中には、音楽制作、プロデュース、マネジメントといったところでは非常に優秀な人たちが何人もいる。今回の二つの集まりでもそのような人に何人も会うことが出来た。
その人たちが何か活動をはじめかけている。まだ明確な形、あるいはモデルには成っていないがあきらかに旧来の音楽ビジネスの形とは違っていそうである。
旧来のビジネスのモデルでは成り立たなくなったから新しいビジネスのモデルを作り出そう、という感じでもない。むしろ、商業的には成り立たないかもしれないが、優れた音楽を送り出すことに価値がある、という認識の下に大きな規模ではなく小さな規模で主体的に活動している人たち、その中には演奏家もいれば制作者もマネジメントもいる。そんな人達が集まり、音楽ビジネスというよりは音楽ムーブメントを起こし始めている。音楽でも一流の実績をもちながらそれ以外の仕事をしつつ、音楽に関してはムーブメント(ビジネスではなく)に参加しようとしているように見受けられる。
実はこの二つの活動とは別に、今年の4月に何人かの有志が集まってTokyo TomorrowというNPOを設立する動きが始まった。これも音楽を送り出すことを中心にして活動しようというグループである。グループは何人かの演奏家、歌手
といろんな周辺サービスを行うサービスグループから構成され、サービスグループのメンバーはほとんどほかにメインの仕事をもっていながら音楽の世界でもかなりの実績を持っている人達である。
最近接点を持ったこれらの三つのグループがこれからどのように活動を展開していくのかまだはっきりは判らないが、なんとなくではなるが、今後の音楽活動の流れはこのような活動に移っていくのではないかという予感がする。
多分、来年の今頃にははっきりわかるだろう。

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