蛇腹カメラを楽しもう

2010年9月 3日

先日、いつものごとく近くの書店に立ち寄りカメラ雑誌のコーナーを見ていたらこんな特集の見出しが目に入った。
手にとってその特集記事を数ページ眺めていたら蛇腹カメラの紹介とそれをつかって写した撮影例が載っていた。
最近、この手のアマチュア向けの写真を楽しむための雑誌が目に付く。
何かしら肩に力の入った感じのするカメラ雑誌が主流をしめていたところにこのような視点の雑誌はなかなか面白い。
記事のなかでフォクトレンダーというもう無くなってしまったドイツのカメラメーカーのぺルケオEという蛇腹カメラの写真が出ていた。
このカメラはまさに私がクラシックカメラに手を出すきっかけとなったカメラである。

2001年、夏休みを利用してニューヨークにあるInternational Center Of Photographyというフォトスクールの夏期講習に出かけた。いまはManhattanの6thAvenueと43rdの角にあるがそのころは5th Avenueと92の角にあった。
ロバートキャパを記念して、報道写真を中心にして教える学校である。
そこから戻ってきた夏の終わり、友人と飲んでいるときにその話をしたら後日、その友人からカメラのムックが送られてきた。
フォクトレンダーのカメラを特集したムックである。
この一冊のムックが私をクラシックカメラに引きずり込んだ。
このムックのなかでとくに詳しく取り上げられていたのがこのペルケオシリーズである。その記事には浅草にある早田カメラというクラシックカメラの専門店も紹介されていて、その店主のこだわりのカメラ修理記事も載っていた。
それをしっかり読んだのが運のつきである。2,3週間後の週末には浅草の仲見世脇にある早田カメラまで出かけていった。
間口一間半くらいの店のウインドーにこのペルケオが鎮座していた。入りにくそうな店なのとすでにカメラファンらしき人が二人先客として店の中にいたが、恐る恐る店にはいり、うさんくさそうにこちらをみる店主の早田さんにペルケオを見せて欲しい、と頼んだ。
1950年代の後半に作られたカメラとは思えないほどきれいなカメラである。値段を聞いたら、内ポケットから勝手に財布が飛び出したかんじで5万6千円を支払い、人生最初のクラシックカメラを手に入れた。
ムックを立ち読みしていたらとたんにこのようなことを思い出し、その本は買わずに急いで家にもどりペルケオを取り出し、それ以来この何週間かはこのカメラで遊んでいる。
私の写真は所詮楽しみである。したがって古いカメラをお作法にしたがってのんびり使うのも楽しみの一つである。ただし、このカメラはいまでも使いたい特徴がある。
フィルムサイズが6x6でありながら休日のジャケットのポケットのようなちょっと大きめのポケットにはすっぽり収まる。
これこそ蛇腹の折りたたみカメラの良さである。おなじ6x6でもハッセルブラッドではこんなわけにはいかない。
それに、距離も露出もマニュアルでありシャッターも毎度チャージしなければならないが意外に使いやすい。
写る写真も、デジカメでパシャパシャ撮るのではなく、のんびり撮っているのでなんとなくよい感じに出来上がる。
そんなわけで、最近は左のポケットにはGRデジタル、右のポケットにはペルケオEというのが散歩のときの装備である。

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