Mad Manの時代の本

2012年8月28日

Mad Manは1960年代、テレビが登場して、アメリカの広告業界がもっとも生き生きしていた時代の広告代理店を描いたテレビドラマである。
最近、大好きな二冊の本が実はこの時代の広告業界のカリスマによって書かれた本だ、ということに気がついた。
一冊はジェームス ヤングが書いた、`アイデアの作り方‘である。この本の素晴らしさはジェームス ヤングが‘新しいアイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである‘、と言い切っていることであり、これによってアイデアを作り出すことにストレスを感じている人間には大いなる救いになる。
もう一冊の本はデビッド オグリビーの語録である。翻訳本のタイトルは想像力と知恵‘。
ジェームス ヤングのアイデアのつくり方、に書かれていることは何度か参照したり、外部の講演でも話しているので、今回はオグリビーの語録のなかの一つを紹介する。
語録そのものはオグリビーの75歳の誕生日、つまり1986年に出版されたのだが、若い時代、1950年代、1960年代のメッセージも含まれている。
今でも新鮮で通用する言葉であることが素晴らしい。
広告は、作品一点のなかにセールスストーリーをすべて語り尽くしていなければならない。読者はシリーズで広告をよんでくれるわけではない。
コピーは人間味に満ちた、ごく簡潔で、対象にずばり斬り込むものでなくてはならない。 自意識過剰の芸術作品や、手の込んだ言葉は、買い手をうんざりさせるだけだ。
コピーは一語たりとも無駄に使ってはならない。ムードより、具体的な数字を示すこと。常套句を避けて、事実を、空疎な説教はやめて魅力的な提案を。
滑稽さをねらう広告は、素人が使いたがる手だが、広告代理店においては禁物である。軽薄さでは永続的な成功を築くことはできない。
ピエロからものを買う者はいないからだ。大げさな表現は、市場の叩き売りにはいいが、真面目な広告には無用である。
真実味を割り引いて考える習慣を、読者に植えつけるだけの結果しか生まない。以上、オグリビーの語録のほんの出だしのところである。まったくすべて納得である。
これは、広告だけでなくセールスにも通用するメッセージである

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