企業業績は上がっても給料は上がらない?

2013年3月 6日

政府の経済政策のてこ入れ期待で株価は上がり、円は下がり、企業業績のアップが期待されている。
一方では、企業業績は良くなっても給料は上がらないのではないことを心配する声が高い。
総理大臣自ら財界に対して業績の改善を給与増に反映するように、と要望する昨今だからこの心配は本物だろう。
それでは、なぜ経営者は業績が回復しても必ずしも給料を上げないのか?
推測するに、経営者に対する評価基準にその遠因がある。
多くの経営者の賞与は業績、つまり収益にリンクしている。収益が高ければ賞与は増える。したがって、経営者としては出来るだけ収益を高くしようとする。
また、収益が高ければ株価は上がる。したがって、ストックオプションを付与されている経営者は株価も上げようとする。そのために収益の極大化に努力する。
昇給にまわす財源があればそれを利益として確保しておきたい,と思う訳である。
収益が十分あがって、それ以上増えても賞与が頭打ちになるくらいに収益が上がればその賞与の限界値を超えた分は昇給に回る可能性がある。
給与を上げることは働くものの意欲を高め、けっかとして 企業活動が活性化され収益増に結びつく。しかし、これは長期的視点にたった時の効果である。
経営者が四半期ごとの決算に一喜一憂し、4、5年で任期を終えて交替するのであれば長期的な視点にたった施策ではなく、この期間の期間収益を最大化する行動をとるのは当然である。
したがって、業績改善が給与改善に結びつかない心配が起きてくる。
解決方法は、経営者の評価指標のなかに収益だけでなく、従業員に対し、また社会に対する対応を指標として加えるとともに、株式市場が企業を評価し株価を決定するときに複数の視点から企業業績を評価し、それが株価に反映されるようなメカニズムを導入することだろう。
もう一つは経営者の就任期間をある程度長くし、経営者が短期的収益改善だけでなく長期的な施策に配慮せざるを得ない環境をつくることである。

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