裁くのは道徳によってではなく法律で

2013年2月19日

このところ深夜のテレビで英国の女優、ケイト ウインスレットの主演作品を深夜に放映していた。その作品のひとつである「愛を読む人」の中に出てきた、ハイデルベルグ大学法律学科の教授がつぶやく言葉が、「裁くのは道徳によってではなく、法律によってである。しかも、当時の法律で、、、」主役のケイトウインスレット扮するハンナという女性は第二次大戦中、ナチの収容所の看守だった。そのときの罪で裁かれる裁判がハイデルベルグ大学の法学部の学生の実地見学の題材としてとして登場する。その裁判の見学に学生を引率する法学部の教授が裁判を見学したあとの学生とのディスカッションの時にした発言がこれである。
この一言はなにか痛烈なナチに対する裁判への批判のように聞こえる。
ハンナが裁かれている裁判は強制収容所時代に看守として教会に閉じ込めた捕虜が空襲で火災になったときにその閉じられた鍵を開けなかった、それによって閉じ込められた捕虜を焼死させた罪に関してである。
裁判で裁判官がハンナの罪状をいろいろ問いただす。
その中の一つで、ハンナは裁判官に「それではあなたならどうしましたか?」と逆に質問する。裁判官は一瞬たじろいで、結局答えない。暗に、裁判官もその場にあってはそうせざるを得なかったことを認めたことを示している。
このナチの看守に対する裁判は戦後の世界でナチに関してそれに対する道徳的な感情と戦後の法律に基づいて行われている。しかし、ハンナがとった行動はナチの時代のそこで定められた規則に従って行動しなければならない看守がとった行動である。この大学教授のつぶやきはこの裁判が必ずしも適切ではないことを指摘している。
我々も日常においても過去のことを評価するときに得てして現在のルール、基準で評価してしまいがちである。いままでそれについては何の疑問ももっていなかった。しかし、それはこの教授の指摘するとおり、後出しジャンケン的な発想である。
過去を評価するときに大いに参考になる考え方である。
この映画、これ以外にも示唆に富むエピソードがいくつもある。見る人によってかなり解釈も変わる作品だろうがぜひオススメのひとつである。

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