円高を外から見ると、、、、、

2011年10月27日

前回は自分の体験から過去16ヶ月間の円高の動きを見てみた。
ほとんどの円高の議論は日本の中から、自分の問題としてみている。ちょっと視点を変えて、外からみるとどのように見えるか2,3の例で見てみよう。
国債残高
我々の関心の高い増税にからむ国債残高である。ギリシャ危機を引き合いに脅迫されているように感じる人も多いだろう。しかし普通の人には反論できるだけの国際金融知識、財政知識がないので押し切られているしかない、とあきらめている人も多いだろう。かなりの人は、何か
おかしい、と感じているだろう。
さて、この国債残高は国家予算の赤字の積み上げであるが、最近では年間に40兆円ほどの赤字国債を発行しているから、おおよそ同じ程度で毎年増えていると考えて良いだろう。残高合計が800兆円とすると毎年5%の割合で増えている、ということになる。
さて、2010年6月と2011年10月を比較してみると、年額40兆円で増えているとして、しかも2010年6月時点での残高が800兆円としたら現在はほぼ一年半を経過しているから大雑把にいうと860兆円になっていると想定しよう。
さて、これを海外の視点でみるとどうなるだろうか?この間に円は25%高くなっている。96円だったものが75円になっているからである。この尺度で日本の国債残高を海外から見ると、海外ではドル建てで見ているだろうから、ドル換算すると国債残高がまず円高による影響だけで25%増加し、さらに年額増加分の60兆円すなわち7.5%の増加が加算され、しかもその7.5%の増加分にも平均てきにみると12.5%の円高影響が出る。つまり、ドルで見ると800兆円の2010年6月時点のドル換算残高に対して25%ドルで見かけ上増えて
いて、さらにその間の60兆円に関してもドルに換算するだけで12.5%分増えているがごとく見える。つまり、ベースの円が上がっているのでドルで見るととんでもなく国債が
増えているように見える。各国の国債残高を単純に比較するときにもしドル換算で比較していたら通貨価値の下がっているアメリカでは実質以下の増加に見え、通貨価値のあがっている日本では25%以上も増えているように見える。もし、こんな数字をベースに、‘日本の国債残高は危険水域にある‘とはやし立てられたら?
それではもし円安になったら?当然ながら国債残高は増えているのにドルで見たときにはあたかも国債残高が減ったように見えるか、あるいは実質の増加額よりも少ない増加額に見える。
一見、財政の健全化であるがごとく見える。
収入と物価
我々の収入も、、、2010年6月時点よりも現在は10%くらい下がっていてもドルで見る限り増えているように見える。
デフレといわれているものの価格にしてももし国際比較のためにドル換算していたら、、、、これも価格が上昇しているように見える。
まさか、どこかの政府の財務省とか、こんな数字を見ているわけではないと思うが、、、、
大臣説明に国際比較の数字をドルで単純にドルで換算した数字を見せて国債残高は恐ろしいほど増えているとか、国民の収入は国際比較では増えているとか、、物価は上昇しているからデフレではないとか、、、、こんな風に使われていないことは無いとは思うが、、、、
急激な円高の日本を単純にドル建てで外からみると、こんな風に見える。
もちろん、本当は円高分を調整して見なければいけないのだが、単純に比較すると日本はとんでもなく国債残高は急増していて、国民の収入はそれなりに伸びていて、物価も決して下がってデフレ、という状態にはなっていないように見える。
某銀行が円の発行をすればインフレになってしまう、と思っているとしたらこんな風に国際的に見れば国民所得は増加しているし物価もそこそこ上がっているのだから、、、とまさか思ってはいないだろうと信じるが、、、
しかし、この見方は某銀行の行動を良く説明してはいないだろうか?さて、どうも実質と見かけとはいろんなところで違っていて、何を基準としてみれば良いのかわからなくなってくる。
この判らなくなっているところを掘り下げて見たいのだが、、、、能力の限界を感じはじめている。

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