2010年9月 7日
高齢者特典が魅力なアートの世界。
このところ高齢者特典を享受する機会が増えてきた。
ありがたいことである。
先週末、急に映画がみたくなり、どこでなにを上映しているかなど調べずに渋谷の文化村の6階に出かけた。
多分、ここなら見たい映画をやっているだろう、という勘だけで向かったのだが幸いなことにアガサクリスティ生誕120周年記念の“華麗なるアリバイ”という映画がかかっていてしかも本編上映時間ぴったりに到着。
ボックスオフィスでチケットを求めたら、“シニアですね”とひとこと確認され1000円で見ることができた。
数ヶ月前にはJR東日本の高齢者向け旅クラブに加入、おかげで時々出かける富山へのJRの料金が3割引になっている。
さらに、3週間前に長野県の佐久にいったとき立ち寄ったのが写真にあるメルシャン美術館。
この美術館には御代田に行く機会があるときにはほとんど毎回立ち寄る。
一枚目の写真はその美術館のエントランス、二枚目はエントランス横の屋外に置かれているロダンの彫刻、三枚目は本館の裏手にある美術館、今回はスタジオジブリの強力で小さなルーブルというとても興味深い展示だった。館内全体を利用してジオラマ風にミニチュアルーブルを作っているのである。
この美術館は小さいながらもその企画が面白い。
あるときはロートレックの素描を館内一杯に展示していて、それをみたからロートレックの書く人物像にはそのあごの線に特徴があり、そのような書き方が出来たのはロートレックがとても短身であったからだ、と気がつかされたのもこの美術館の展示のおかげである。
その入場料がシニアはなんと半額の500円!
変なことかもしれないがこんな割引があるとまたでかけよう、という気になる。美術館も映画館も満員で入場を断る状況で無い限り、限界コストはゼロといってよい。限界コストがゼロだからこれまでは年に1回しか来なかった客がシニアになって時間に余裕ができ年に二回来てくれれば5割引でも元々、もし三回来てくれれば売り上げ増である。
このように考えると限界コストがゼロあるいはゼロに近いものは、どんどん高齢者特典をつけることがこれからのビジネスの秘訣ではないだろうか。特に体験型サービスの場合には持ち帰ったり、譲渡したりできないからなおさら特典をつけても影響は少ない。
ひょっとしたらコンビニとかスーパーでも高齢者特典プログラムが効果的かもしれない。特にコンビニでは数が増えて競合が激しくなってきている。単に値下げ競争に入るのもよいが高齢者特典プログラムを作りこれからの人口の主要部分を占める高齢者を囲い込むという戦略もあるのではないだろうか。
ほかに高齢者特典が効果を発揮すると思われるのはバーである。
年をとってくると自然に酒量が減ってくる。バーで飲む量も減る。
ところが酒飲みは結構いじましい。したがって、高齢者特典で3割引、なんてあったりすると余分にもう一杯呑んでしまいそう
である。それも、バーの狙いがそうだとわかっていても、である。
割引があるからもう一杯、というのはバーゲンセールだからもう一着ウエアを買ってしまう女性心理を馬鹿にしているのと
おなじ心理だが……
当分、高齢者特典さがしを楽しもう。